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お二人の出会いを教えてください。

-三浦雄一郎氏-
60代の頃、メタボになって。それから必死に発起して、エベレスト登ろうとやったけれども今度は心臓のトラブルで、不整脈の手術を今までに7回やってるんですよ。
先生とお会いした時は多分4回目くらい。やっぱり手術した後は、すぐトレーニングはできないし。
-森谷敏夫名誉教授-
(その時)僕はちょうど筋肉を電気で刺激する方法をずっと開発してたのでその映像をお見せしたのですよね。そしたらすぐに京大に行くから、ということで。
-三浦雄一郎氏-
もう早速行こうと、先生の研究室にお邪魔して。
-森谷敏夫名誉教授-
京大の整形外科では、(膝の)十字靭帯を靭帯を切った時、通常のリハビリが出来ませんので電気刺激でトレーニングをしていたんです。すると、入院前よりも、4週間くらいすると筋がむしろ大きくなって、3か月後には明らかに強くなって退院する、という事例がいっぱい出来てきて。
-三浦雄一郎氏-
これが脳にも作用しているんじゃないですかね。筋肉の刺激から、運動する(脳の)領域の活性化といいますか。
-森谷敏夫名誉教授-
そうですね。ですから、これからは高齢者の方に筋肉の劣化の予防だけではなく認知機能(低下)の予防にも可能性が見えてきた。そういう所に、非常に今、精力的に研究を進めている所なのです。

普段どのようなトレーニングをしていますか。

-三浦雄一郎氏-
やっぱり80歳を過ぎて心臓病を抱えていますと、どうしても運動する気持ちが段々起きなくなる。運動しても無駄ではないかと、そんな気持ちが起きるのですよね。
それなら、1日でやっぱり必ず歩きますから、この歩くことを全部そういうトレーニングにするという。
-森谷敏夫名誉教授-
重りで負荷をかけて自然にトレーニングすると。
-三浦雄一郎氏-
そういう生活習慣にしてます。僕は普段から足首に重りを付けていて、今履いている靴は1.7kgの靴なんです。それから旅行、外出するときは背中に15~20㎏くらいのリュックを背負って、いつも負荷をかけて生活。「どっこいしょ」という感じで歩いている。
-森谷敏夫名誉教授-
60歳になった時に、正月の番組で、日本の武道の紹介を英語版でやっているものがあって、ずっと見ていたのですね。空手は中学校の時にちょっとやっていたんですが、36年ぶりくらいにその空手のシーンを見て、「今年から武道を始めよう」と思って。で、今6年経ちました。一応黒帯にもなって国際大会にも出て、シニアの部ですけど、一応5位になって。
ジョギングが週3回、空手が2回、あと、1回はゴルフが好きなので(笑)。ゴルフの練習という感じで、今はちょうど良いトレーニングメニューが組めているなと。

お二人にとって筋肉とは何ですか。

-三浦雄一郎氏-
人間として生きていくための絶対条件として、行動するための原動力といいますかね。
-森谷敏夫名誉教授-
僕にとっては筋肉というのは、もう全ての健康の根本なのですね。
やっぱり若い頃からしっかり筋肉を鍛えておくことが大切。僕にとっては、脳の健康、心の健康、全身の健康に、筋肉は不可欠な「臓器」なのです。

今後の挑戦を教えてください。

-三浦雄一郎氏-
僕は65歳で、エベレストへ登ろうと決心して、それから人生が変わりました。もちろん病気したり、怪我したり・・でもそれを越えられたのも、エベレストに登ってみたいという気持ちがあったから。
今、考えているのはですね、2018年、あと2年後ですけれども、チョ・オユーという8200mの世界で7番目の高峰があるんですよ。ここを登って、そこからスキーで滑ってみようと。85歳の時に。
-森谷敏夫名誉教授-
85の時に!素晴らしいですね。
-三浦雄一郎氏-
まだできるかどうか分からないけれども、できるかどうか分からない、そういう目標があってそこに向かっていこう、ということ。そのための一番の原動力が筋肉なのです。
-森谷敏夫名誉教授-
私は、日本骨格筋電気刺激研究会というのを発足しました。あと2,3年の間にエビデンスをしっかりまとめて、それを厚労省に持っていって、その筋の電気刺激装置(EMS機器)を保険適応して頂くと。そうすると、どんな方でも安く買って、医師の指導のもと、自分で電気刺激して筋肉を強くしたり肥満の予防とか、運動不足を解消するだとか、介護予防にどんどん使って頂けるようなシステムに何とかならないかなと。
-三浦雄一郎氏-
無駄な医療費だとか介護だとかそういうものがどんどん減っていきますよね。
-森谷敏夫名誉教授-
なおかつ本人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)として、しっかり歩けて、健康寿命をしっかり延伸するためには、まず足腰がしっかりしていないとダメなので。そういう一助になればと思っています。
-森谷敏夫名誉教授-
今日はありがとうございました。
-三浦雄一郎氏-
ありがとうございました。

冒険家 三浦雄一郎

1932年10月12日生まれ。青森県青森市出身。1966年に富士山直滑降。1970年にエベレスト・サウスコル8,000m世界最高地点スキー直滑降(ギネス認定)を成し遂げ、その記録映画『THE MAN WHO SKIED DOWN EVEREST』は米アカデミー賞を受賞。1985年に世界七大陸最高峰のスキー滑降を完全達成。3度のエベレスト世界最高年齢登頂記録を持ち、アドベンチャー・スキーヤーとしてだけでなく、行動する教育者として国際的に活躍中、全国に1万人以上生徒がいるクラーク記念国際高等学校の校長務。記録映画、写真集、著書多数。

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京都大学名誉教授 森谷敏夫

国際電気生理運動学会、国際バイオメカニクス学会、アメリカスポーツ医学会、日本運動生理学会、日本体力医学会など、多数の学会で理事、評議員を歴任。
世界で初めて、筋力増大に対する神経的要因の貢献度を評価した。
発表した論文は、200本以上。著作多数。